音楽ストリーミングサービスの流入で大きく変化しつつある日本の音楽業界ですが、こちらのツールも新しい音楽ビジネスの1つとして話題になっています。
クラウドファンディングの登場
CAMPFIRE公式HPより
先日、今年メジャーデビューを果たし、ブレイク有力候補との呼び声が高い5人組バンドAwesome City Clubが初となるシングル曲『アウトサイダー』の発売を目的に「クラウドファンディング」を開始したというニュースが飛び込んできました。
皆さん「クラウドファンディング」という言葉ご存知でしょうか?1度耳にした事がある方も多いかもしれませんね。分からない方もいらっしゃると思いますので、簡単に説明しましょう。
クラウドファンディングとは
企画者がやりたいことを実現するために不特定多数から資金を集める制度。クラウドファンディングという言葉はcrowd(群衆)とfunding(資金調達)を組み合わせた造語からなる。支援してくれたお返しに、プロジェクトの実行者は金額に応じて支援者に特典をリターンするシステムになっています。
つまり、企画者は資金を集める代わりに、支援者に対して金額に応じたお礼をする構造というわけです。お礼のことをリターンといいます。
ジャンルは音楽や映像、フード、ファッション、社会貢献など幅広く扱われています。
プロジェクトのルール
クラウドファンディングにはルールがあります。例えば、目標金額を決めなければいけません。最低金額はサイトによって異なりますが、どのサイトの利用者も100万前後に設定するのが平均的なようです。また、期間も設けなければいけません。CAMPFIREというサイトでは1日~90日の間で設定が出来ます。
期限内に目標が達成できた場合は支援金が実行者に入ります。支援金のうち20%前後のお金が手数料として、サイトを運営する会社に入る仕組みです。
音楽のジャンルでは具体的にどんな企画があるのでしょうか?参考例をご紹介します。
①Awesome City Club
内容:初となるシングル『アウトサイダー』をリリースしたい
目標金額:100万円(既に達成)
リターンの内容(一部)
1500円の支援:CDシングル
5000円:CD・7インチシングル・ワンマンライブチケット
3万円:シングル・7インチ・トートバッグ・各メンバーごとの企画(ギターレッスン、ソウルバーで飲むなど)
3万5千円:シングル・7インチ・トートバッグ・メンバー全員とBBQ
15万円:シングル・7インチ・トートバッグ・1曲作ってプレゼント
②遠藤舞(元アイドリング!!!)
内容:スタジオライブ&レコーディングの開催
目標金額:200万円(達成済)
リターン内容(一部)
500円:お礼のメッセージとメッセージを書いている映像
3000円:当日録音した音源DLのURL
1万円:スタジオライブへの参加(女性限定)・生音源・集合写真の撮影
3万円:ライブ後に名前を読み上げ、お礼を伝える(DVD収録)・エンドロールに名前の掲載・録音CDとDVD・名前入りメッセージ
15万円:コントロールルームへの招待・パッケージにスタッフとしてクレジット
③トクマルシューゴ
内容:10周年記念『Night Piece』完全再現ライブの映像化(支援者のみに流通)
目標金額:300万円(達成済)
リターン内容(一部)
500円:お礼のメッセージ
5000円:お礼のメッセージ・完成DVD
1万円:メッセージ・サイン入りDVD・エンドロールへ名前掲載・ライブ音源
5万円:1万円と同じ内容の物・サイン入りTシャツ・ライブやレコーディングで使用したトイピアノ
15万円:1万円と同じ内容の物・サイン入りTシャツ・トクマルシューゴ1/10サイズフィギュア
日本に定着するのか?
Awesome City Clubが企画したプロジェクトはわずか3日間で目標金額に到達しました。
「CAMPFIRE」「READYFOR」のような総合的なサイトだけでなく、「J-CROWD」(FMラジオ局J-WAVEが運営)といった音楽専門のサイトが生まれています。このことからもわかるように、これからクラウドファンディングは1つの音楽ビジネスとして活用される機会が増えていくと予想されます。
アメリカではすでに音楽ビジネスの1つとして定着していて、莫大な資金を集めることに成功したアーティストも存在します。
では日本でクラウドファンディングは定着するのでしょうか?現状ではまだまだ課題が多く残されています。例えば、支払いがクレジットカードに限定するサイトが多いこと。また、ネットを使ってお金を投資することに抵抗感を持つ人も多くいるでしょう。手数料の問題もあります。「kicksterter」を始めとしたアメリカのクラウドファンディングサイトは資金の5%が平均的な手数料です。一方、日本の場合は20%前後とアメリカに比べ、割合が高めです。これらの問題がどうクリアされていくのかが拡大のカギになると思われます。
広がるかどうかは別として、クラウドファンディングが音楽に携わる人の助けになることは間違いありません。逆に、音楽への手助けをしたいと考えている人にとっても有効なツールとなります。皆さんも興味がありましたら、プロジェクトに参加してみてはいかがでしょうか。
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