あれは大学入学を控えた春のことだった。
友だちの誘いで初めてライブハウスでのライブを経験した。2,3時間観てから渋谷の王将で夜ご飯を食べ、その日が終わった。
異変に気付いたのはその翌朝。
聞こえにくい。テレビの音、家族の話し声、全ての音が聞こえづらかった。原因に思い当たる節はある。そう。前日のライブハウスだ。
ライブハウスに行ってまず思ったのは「やたら音がデカい」。音響設備が整備されていないこともあるのだろう。楽器の音がうるさすぎてボーカルの歌声なんか聴こえやしない。「なんだこのクソみたいなライブは」。初めてのライブハウスに対する感想はこんなものだった。
聞こえづらいのはその「バカでかい音」を聴き続けたせいなのだろう。まあでも午後には直っているだろうと気にせず、英語クラス分けを目的としたテストを受けに大学へ行った。
症状は午後になっても変わらない。注意事項を述べる試験監督の声が聴き取りにくく、隣の学生に内容を確認する始末。生活に支障が出るほどでもなかったので、そのまま過ごして3日経った頃に、やっと音がクリアに聞こえるようになった。あれは何なんだったのだろう。数年後、ふと気になって調べてみた。
ロック難聴という病気
100db(デシベル)以上の音を長時間聴くと、時々発生する難聴や耳鳴り。このような症状が出る病気を「音響外傷」と言います。ロックのライブなどで起こりやすいことから、「ロック難聴」とも言われています。また最近はヘッドホンやイヤホンで音楽を聴く人にも症状が出ていることから「ヘッドホン難聴」とも言われているそうです。
これからシーズンを迎える音楽フェスでは、長い時間大音量の音楽を聴くことが想定されるので注意が必要です。「スピーカーの近くに行かない」という予防法がありますが、アーティストを出来るだけ近くで見たいのがファンの正直な気持ち。そんな方におすすめしたいグッズがあります。
予防する方法は「耳栓」!
あの音が聞こえづらくなった経験から数年後、バンド活動をしている友人の招待で久しぶりにライブハウスへ行く機会が訪れる。
以前のようなひどい症状が出ることはなかったが、音がデカい印象というは変わらなかった。そのライブハウスであることに気付く。
自分の前にいるお客さんが「耳栓」をしていたのだ。「なるほど!」と思ったのと同時に、「失礼にならないのか?」という疑問が湧く。
答えは「ならない」。
私の前にいた客がしていた「耳栓」。あれは適切な予防法だったのです。実際にライブ用の「耳栓」が販売されていることが分かり、私も購入してみました。それがこちら。「クレッシェンド(CRECNENDO)のイヤープロテクター」です。
CRECNENDOのイヤープロテクター
結構探すのに苦労しました。大きめな楽器店を3つくらい周って、やっと発見。耳栓にも種類があるらしく、ドラマー専用の「耳栓」もありました。私が購入したのはリスナー用。耳栓を入れるケースも付属しています。
大きさはこんな感じ。非常にコンパクトなので、持ち運びに便利です。
耳栓にはフィルターが付いていて、それをはめ込むことで音を遮断するようになっています。
ケースから出すときは注意が必要
購入直後のライブで、使おうと思ってたのに耳栓が使えない事件が発生しました。ライブが始まると思って、ケースから出そうと思ったのに出てこない。指を突っ込んで取り出そうとしたのに、逆に指で押し込む形になってしまい余計に出なくなるという悲劇。結局片耳と、ふたがない予備の耳栓を片方にするというほぼ無意味の処置でライブを見ました。
この商品少し、耳栓がケースから出づらい感じになっているので、出すときは注意して出してください。私みたいに焦らなければ、簡単に出せます。笑
個人的な感覚ですが、ケースに入れる時は耳栓の先端からではなく、下の写真のように耳栓の外側から入れると出しやすいです。ライブに行く前にどちらがいいかテストすることをおすすめします。
ちょうど良い音量に抑えられるし、音質もGOOD!耳鳴りもなくなった!
すでに何回もライブやフェスで利用していて、もう手放せません。音量は良い具合に抑えられましたし(それでも大きいぐらい)、音質もクリアに聴こえて支障を感じませんでした。しかもライブ終了後の耳鳴りがなくなりました。
ただし、長時間耳栓をし続けると耳が痛くなるので注意しましょう。
標準サイズの耳栓と少し小さめの耳栓がセットになっているので、耳の大きさに合わせて使うことができます。少し分かりづらいですが、下の写真でいうと左が「小さいサイズ」で、右が「標準サイズ」です。
全体的な感想
ライブハウスなど、スピーカーとの距離が近いライブやロックバンドのライブでは非常に役立ちます。生の音が遮断されることを嫌う人もいると思いますが、聞こえなくなるリスクを負うよりマシだと思います。2000円以下で購入できますし、難聴になるリスクを避けたい方は試してみてはいかがでしょうか。